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土木白書No.10:八郎山トンネル覆工コンクリート厚不足は官民共にお粗末

官民一体のとんでもない施工不良が発覚した八郎山トンネル。。。

産経新聞さんの記事をお借りして。。。

昨今の施工不良はまぁ当たり前の土木業界。。。

私もトンネルの施工管理を過去にしていたのだが、全くこの施工不良を何故そのままにして現場所長は施工を続けたのかが???

現場で実際にやっていた人間からすると正しく???

これから私が書く内容を読んでもらえたらわかるが誰もがこの施工不良を放って置けたのか???となるはずだ。。。

ここ20年間で現場を調査する機器がもの凄く進歩している。

このようなコンクリートの厚みなど施工後であろうとコンクリート厚探査装置で簡単にわかってしまう。

コンクリートの厚みもコンクリートと土の間に空洞があるかないかも一発で事後検査可能なのである。

これがあるからこそトンネル工事では掘削時に最低限のコンクリート厚さを確保するだけの余裕を持って掘るのが当たり前なのである。

そしてトンネルなどは完成検査で良いところだけを確認して合格となっても、その後毎年のように維持管理でコンクリートにクラックがないかなどを調査し、場合によっては全断面の厚さを調査したり裏に空洞が無いかを調査するから遅かれ早かれ施工不良は「バレる」のである。。。

こんなことは施工しているものなら誰もが理解している・・・

いずれ「バレる」ものをやり直さずにそのままにして検査を受けるのはこのケースだと施工者側に立って物事を見てもまずあり得ない事象であるから???なのである。

以前にも元請業者と下請け業者が喧嘩した?とかで下請け業者がトンネルの厚さが不足しているところがあるといって発注者にチクったのが元でやり直しをくらったケースも全国であるが、そんなケースでも30センチのコンクリート厚さが25センチだった程度であるが、今回はそれが3センチだというのであるから呆れるというか、それを放置できる神経は逆に凄い。。。

何故なら、トンネルは施工後にもし湧水があり水でも漏れてきてたら漏水対策などでコンクリートにアンカーを打ち込むこともある。(もっとも、現在の施工法だとコンクリートと地山の岩の間に漏水シートを一面に張ってからコンクリートを打設するので漏水はおきにくいとは思うが)それ以外にも電子機器を取り付けるとか、照明器具を取り付けるとか様々なことが施工後、完成後であってもアンカーを打設して何かを取り付けるなんてことは普通に予測できる。

そんな事後のことを考えたらアンカーも打ち込めないような厚さで完成させるなど施工業者の立場から見ても考えられないことなのだ。

・・・と思ったら・・・

どうやらその我々土木業界の常識も和歌山では通用しないようで・・・

ここでの最大の問題点はその施工不良にあるのではなく、17件もの物件を過去に施工してきた現場所長が行った行為であり、おそらく過去の現場でも同様であっただろうと容易に想像できることと、現場を完成後にその施工不良がバレないと思っていたのならそれこそ大きな問題である。

普通であれば将来自分が施工した物件がどのような検査を受けるから、その検査に通るだけのものを作らないと施工不良な現場をなんとか完成品として発注者に一旦は納品しても後々にはバレて全て水の泡。。。なのだ。。。

まずそこを理解していないかのような今回の施工不良はどう考えてみても???

今、流行りの自動車メーカーの検査不正などは、内部からのチクリでもないとわからないから不正をやるのであるが、このトンネルのコンクリート厚さ不足は、事後に簡単にその施工不良がバレるのであるから、呆れるよりない。。。

これを例えて言うならば。。。

泥棒に入るのに、入る場所には多数の防犯カメラが備え付けられており、さらに加えて遠隔でその場を監視する監視員が付いているような場所に、ノコノコと泥棒に入るお粗末な泥棒。。。

今回の施工業者はそんな泥棒並みの会社であるということで本当にお粗末。。。

次に県の土木部の検査対応も呆れてものもいえないレベルだ。。。

私がトンネル工事の施工管理をしていた時など発注者からの依頼でほぼ全日ゼネコンさんの仕事が適正に行われているかを現場に張り付きで監視していた。

これが和歌山県のレベルで見ると、全く現場など見ていないに等しい内容の調査報告であるから呆れるよりない。。。

「現場は施工業者に任せておけば大丈夫」

今はそんな現場は一つも存在しないことをまずは理解しておかないといけない。

昨今はあらゆるゼネコンが先輩からの技術の継承がなされていないのが現実で、私も施工管理をしていた時はゼネコンさんが造ったコンクリート構造物が基準値から外れていて壊してやり直しを指示したことは一度や二度ではない。。。

和歌山県のしたことは、明らかに職務怠慢で施工不良による補修費用の一部など県で負っても不思議ではないくらいの怠慢さだ。

昨今のトンネルではコンクリートに繊維を入れて打設するものもある。

萩原工業さんのカタログを拝借するが。。。

こんなチップをコンクリートの中に入れるケースもある。。。

その場合など、おそらくは発注者の誰も知らないとは思うが・・・

私が施工管理をした現場ではたいへんその扱いが難しかった。。。

このチップは予め工場で入れられて来るのではなく、現場に生コン車が到着してから、生コン車に現場で投入して生コン車で再撹拌してから打設するのであるが、打設前に現場で投入前検査として、撹拌した生コンが所定のスランプかどうかを確認する。スランプというのは要するに生コンの柔らかさだと思ってもらうとわかりやすいが、水分量が多いと生コンは柔らかくなるし、その逆だと固くなる。コンクリートはその打設箇所によってそのスランプが決められている。

私が施工管理していた時など酷いもので、現場で繊維を投入して撹拌したら数台に一台がスランプの規定値の範囲内に収まらず私から「不良ですから工場に戻してください」と言われて現場で打設直前なのに返品となったケースが多々あった。

おそらくこんな厳格な施工管理をしていたのは全国でも私の他には数人?だけだろうから、ほとんどの現場では不良品をそのまま見逃して、「まぁいいや」と返品もせずに打設した現場など数限りなくあるはずだと容易に想像できる。

生コン車1台返品だとそれだけでも10万円以上の損失だからなおさら返品は業者からしたらきつい。。。

それを顔色一つ変えずに私は「はい返品」としていた。。。

施工業者がはっきりと私に〇〇県が発注者だったら検査も立ち会わないから返品など無かったのに・・・と嫌味をいわれた記憶がある・・・

もしも私が施工管理員としてその場に居なかったなら施工業者はスランプなどいくらでも改ざんしてデータ作成など容易に出来てしまう。それで施工業者が平然としていられる理由は簡単だ。スランプ試験が通ってコンクリート打設が終われば、その後あるのはコンクリート強度試験用に採取したテストピースによる強度試験しか残らない。

そしてこの強度試験ではおそらくスランプで多少規格値から外れたコンクリートでも強度自体は全く問題がないくらい高い数値が出る。このことに自信があるから施工業者はスランプが多少悪くても改ざんなどしてしまうというストーリーである。

普段コンクリートのテストピースによる強度試験を行えば設計強度の2割り増し、3割り増しの強度が当たり前に出るから多少スランプが悪い結果であっても強度は出るから問題ないじゃないと施工業者は誰しも思っている。

まぁここらは自動車業界と土木業界とで変わりない。。。

要するにこの試験が不正であろうと通ってしまえば完成品となった時点でその完成品の制作過程での試験の良否や有効性など全く関係無くなるという考えだ。。。

施工業者がいうように県や市町村レベルでは立会検査も無いか、あっても良いところだけ役人に見せて終わりにするなど検査などザルに水を通すくらいに楽なのでおそらくは不良工事のオンパレードなのであろう。

それが現実で和歌山県などは現場所長など県は見ないことを前提に全てを進めているのだから不正をやったのは施工業者であるがそれをやらせたのは発注者であるとはっきりと言える。

こんなことがあるから和歌山県などの現場へ出向かないといった検査嫌いは施工業者からしてみれば「不良品をお使いください」というお墨付きを得たに等しいことなのである。

加えて施工管理はコンクリート打設前に必ずコンクリートの型枠と土の間に30センチ以上コンクリートが入る隙間があるかは絶対に測る。。。

大概の業者はその時に厚みが不足してたら、型枠をセットしてから手戻り作業となるのでたいへんな損失になるから、掘削時には相当余裕を持って掘削することとなる。

余分に掘るからコンクリートが余分に入る。私が施工管理をしていた現場では例えば設計では30センチの厚みで当日のコンクリートの打設量は計算上では70立米なのに実際にコンクリートを打設してみたら100立米のコンクリートが入ったなんてことが数多くあったくらいだ。

和歌山県など現場へ出向くのが嫌いな官庁でも、トンネルなら日々のコンクリート打設量などの日常管理くらいはメールでもなんでもできる範囲のことなのであるから、全く現場はみません、日常のデータも見ませんは発注者としてはあり得ない行為だ。

日常管理データなど施工業者がごまかす可能性があるのなら生コン会社に直に当日出荷量の生データを県に送るような仕組みだけ作っておけば済む話しだ。

おそらくこのケースだと当日打設量が設計上では70立米であるはずの打設量が実際の打設量は40立米しか出荷が無かったとかが生データが残されているはずだ。

この話しをすると当然誰もが疑問に思うだろうことが浮上する。。。

設計数量より少ない量しか打設できなかったはずなのだから、コンクリートの納品伝票はどうしたのだろう?と。。。

普通に考えたら施工業者に頼まれて生コン会社が偽装工作をして偽の伝票を作ったということとなる。。。

設計数量が例えば70立米だとすると、それに応じて朝の打設開始時間から終了時間までだいたい均一の時間間隔で少なくとも設計数量より多い80立米くらいは打設するのが常識の範囲なので、そんな間隔で現場に納品したという伝票は不可欠だから。。。

真相はわからないが、これだけ多くの場所で厚み不足が確認されているのだから、伝票などまともに揃うわけはないはずだ。。。

ここらにも業界の問題点がある。。。

施工業者に頼まれれば改ざんに協力してしまうという最もやってはいけない協力というやつだ。。。

今回の真相はわからないが、施工業者と生コン屋とか施工業者と下請けとかの力関係で元請会社からの頼まれごとは断れないという日本人的な暗黙のルール。

今回、もし生コン屋が施工業者に頼まれてそれをしたとなると、生コン屋からしたら、契約数量より少ない数量しか納品できなかった上に改ざんまでさせられて、挙句のはてに調査対象とされたのでは泣きっ面に蜂である。。。

今回の施工不良は私など現場を見てきた人間からすると発注者も施工者もお互いにどうかしているといって呆れるよりない。

今はこんなことが全国で行われているのが実態なのだが、こんな事件が起こっても私などは「今の日本の実力では当然起こる事件だな」と変に納得してしまうところが我ながら情けないやら悲しいやら怖いやら・・・

既に日本の一般的な土木屋の技術など信じるに値しない。。。

そんなレベルにまで日本の技術は低下してしまった。。。

日本全国で怪しげな建造物がどんどん出来上がっている。。。

「土木の技術立国」などという言葉は今は昔である。

私が渡り歩いてきたいくつもの建設コンサルタント会社と建設コンサルタント会社に仕事を依頼した発注者・・・そのいずれでも・・・どこの事務所に行っても・・・不正に身を染めていないところは皆無だった。。。

そんなことを著書で書いてみた。。。

これ読まずして土木業界語るなかれ

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